34-3:傾聴のスキルを磨く

[34週]: [共感力を養う]
・チームメイトの感情や立場を理解し、信頼関係を築くことで、連携力とパフォーマンスの向上を図る力を養う。
・対立を未然に防ぎ、円滑なコミュニケーションを実現するための共感的態度を習慣化する。
・スポーツの場面だけでなく社会においても通用する、人間的なリーダーシップの土台として共感力を高める。

34-3:傾聴のスキルを磨く
相手の話を最後までしっかり聞く習慣を身につける。
会話中に相槌を打ち、相手が話しやすい雰囲気を作る。
話の内容だけでなく、相手の感情も理解しようとする姿勢を持つ。
チームメイトの悩みや不安を聞き、共感を示す言葉を使う。
ミーティングの際、積極的に聞き役に回り、他者の意見を尊重する。
傾聴のスキルを高めることで、チームメイトとのコミュニケーションが円滑になる。

「傾聴のスキルを磨く」について考えます。
傾聴のスキルは、共感力を高めるための基盤となります。相手の話をただ聞くだけでなく、その気持ちに寄り添いながら耳を傾けることで、信頼関係が築かれます。聞く力の大切さと実践方法を学び、より良いコミュニケーションを育む力を養います。

1.相手の話を最後までしっかり聞く習慣を身につける

話の途中で口を挟まず、相手が話し終えるまで聞く姿勢は、敬意と信頼の表れである。
聞き切る力が、相手の安心感につながる。

練習の不満を話す仲間の話を途中で遮らず、最後まで聞いた
意見を挟まずうなずきながら最後まで話を聞き切ることで、感情の整理と信頼形成を支える。
意見の違いがある場面でも、受け止める姿勢が信頼と安心感を生む。

練習中にミスを指摘された部員の言い分を丁寧に聞く
戸惑いを見せる部員の言い分を否定せず、目を見て丁寧に聞き、相互理解に努める。
相手の立場に立った傾聴が、誤解や対立の回避につながる。

同期との衝突についての相談を、黙って傾聴した
仲間の相談を、あいづちだけで遮らずに受け止め、相手が言葉を出し切るまで黙って耳を傾ける。
言葉を挟まずに聴く姿勢が、相手の心を開く大きなきっかけとなる。

話を聞き切る姿勢が、信頼と共感の第一歩となる。

2.会話中に相槌を打ち、相手が話しやすい雰囲気を作る

「うん」「そうなんだ」といった相槌や頷きは、話し手にとっての安心材料である。
共感を示す小さな工夫が、深い対話を生む。

相談を受けながら、適度に頷きと短い言葉で反応する
真剣な相談を受けている最中に、適度なタイミングで頷きや「うん」「なるほど」といった短い言葉を返し、安心感のある聞き方を心がける。相手に受け入れられているという実感を与え、信頼関係の構築につながる。

試合後の振り返りで、後輩の話に共感を込めた相槌を打つ
後輩がプレーについて語る際、「わかるよ」「それ悔しいよな」といった共感のこもった相槌を打ち、自然な対話を促す。
相手の感情に寄り添った反応が、安心して話せる雰囲気をつくり出す。

緊張する新入生の話に、柔らかな表情と声で反応する
緊張して話す新入生に対して、穏やかな表情とやさしい声で反応し、表情と言葉の両方で安心を与える対応を心がける。
非言語のサインを含む共感的な反応が、相手の緊張を和らげ、関係づくりの第一歩となる。

相手が安心して話せる空間づくりが、共感を引き出す鍵となる。

3.話の内容だけでなく、相手の感情も理解しようとする姿勢を持つ

言葉の裏にある感情に寄り添う姿勢が、本当の意味での「聞く力」を育てる。
心を傾けて聴くことが共感につながる。

笑顔で話す仲間の内心の不安を読み取り、丁寧に対応する
明るく振る舞っている仲間の言葉の端々に不安を感じ取り、話が終わったあとにさりげなく気遣いの言葉をかけ、丁寧に寄り添う。表情と語調の違和感に気づき、見えにくい感情に配慮した対応が信頼につながる。

悔しさの言葉に触れずに話す後輩の感情を汲み取り、声をかける
表面上は冷静を装う後輩の話からにじむ悔しさを察し、「無理しなくていいよ」と寄り添う声をかける。
直接言葉にされない感情をくみ取る力が、心の支えとなる関係を生み出す。

表面的な言葉に惑わされず、本音に目を向ける
強がるような発言の裏にある本音や葛藤に意識を向け、すぐにアドバイスするのではなく、まず受け止める姿勢を大切にする。言葉の奥にある気持ちに目を向ける姿勢が、深い信頼と理解を築く礎となる。

感情を理解する力が、表面的な会話を超えた信頼を育てる。

4.チームメイトの悩みや不安を聞き、共感を示す言葉を使う

「それは大変だったね」「わかるよ」といった共感の言葉は、相手の心を軽くする。
共感を言葉にすることで、対話がより豊かになる。

練習の辛さを打ち明けた仲間に「よく頑張ってるね」と声をかける
疲労や悩みを口にした仲間に対して、評価や助言をせず、「よく頑張ってるね」と真っすぐな言葉をかけて気持ちに寄り添う。
肯定的な共感の一言が、相手の心を軽くし、前を向く力となる。

不調に悩む仲間に「自分も同じ経験ある」と寄り添う
思うように結果が出ずに悩む仲間に対して、自身の経験を共有し、「わかるよ」と共感を示すことで、孤独感を和らげる。
共通の経験に基づく言葉が、安心と励ましを届ける力となる。

落ち込む部員に「一人じゃないよ」と伝える
うまくいかずに気持ちが沈んでいる部員に対し、短くも力強い言葉をかけ、そばにいるという安心感を届ける。
共にいるというメッセージが、相手の不安や孤立感をやわらげる。

共感の言葉は、信頼関係を深める潤滑剤である。

5.ミーティングの際、積極的に聞き役に回り、他者の意見を尊重する

話すだけでなく、聞く側の存在がチームの議論の質を高める。
聞き役に徹することで、全体のバランスが取れ、安心感が生まれる。

あえて自分の意見を後にし、仲間の話を優先する
自らの考えを述べる前に、まず仲間の話に耳を傾け、相手の意見を尊重する姿勢を示す。
発言の順序に配慮することが場の空気を柔らかくし、対話の深まりにつながる。

グループ討議で「なるほど」と受け止める姿勢を示す
他者の意見に対して評価や否定をせず、「なるほど」と頷くなどのリアクションを大切にし、話しやすい雰囲気をつくる。
受容的な態度が発言を促し、議論の活性化を支える。

多様な意見をまとめ、全員の声が届くように配慮する
一部の意見に偏らぬよう全体の声を拾い、まとめ役として意見を整理する。
バランスの取れた進行が、対話の質と公平性を高め、チームの一体感を育む。

聞く姿勢がチームの信頼と調和を育てる源となる。

6.傾聴のスキルを高めることで、チームメイトとのコミュニケーションが円滑になる

傾聴は対話の基礎であり、信頼と協調を築くために欠かせない。
全員が聞き上手になれば、チームの空気は自然と良くなる。

お互いに話をしやすい環境をつくり、自然な対話を増やす
練習中やミーティング以外の時間にも気軽に話せる雰囲気を意識的につくることで、意見交換が活発となり、信頼関係が深まる。話しやすい空間が、傾聴を土台とした対話の質を向上させる。

定期的な1on1ミーティングで信頼を築く
上下関係にかかわらず定期的に1対1の対話の場を設け、相手の考えや悩みに丁寧に耳を傾ける。
継続的な傾聴が、安心して話せる関係性と深い信頼を育てる。

練習後の雑談タイムで、全員の話を均等に拾う
話題の中心が特定の人に偏らぬよう配慮し、メンバー全員の話に耳を傾ける。
全員の声を尊重する姿勢が、チーム内の距離を縮め、協調性と一体感を育む。

傾聴力はチームの「対話力」を底上げする。
小さな対話の積み重ねが、絆を育てる。

アドバイス

傾聴の姿勢は、共感力の基盤であり、チームに安心感と信頼をもたらします。
誰かが話すときには、ただ耳を傾けるのではなく、心を傾けて聞くように意識してください。

会話の中で気づいた感情に寄り添い、受け止め、共感を言葉にすることで、チーム内の人間関係はより強く、温かくなっていきます。聞く力を育てることは、チーム全体の成長につながる重要なスキルです。

この記事を書いた人

Matsuura Masahiko
Kansai University
KAISERS Football Team
LifeSkills 365 for All Kaisers related persons.

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