[34週]: [共感力を養う]
・チームメイトの感情や立場を理解し、信頼関係を築くことで、連携力とパフォーマンスの向上を図る力を養う。
・対立を未然に防ぎ、円滑なコミュニケーションを実現するための共感的態度を習慣化する。
・スポーツの場面だけでなく社会においても通用する、人間的なリーダーシップの土台として共感力を高める。
34-6:共感力を活かして対立を解決する
チーム内で意見が対立した際、双方の立場を理解しようとする。
感情的にならず、冷静に話し合い、解決策を模索する。
対立が起こった場合、当事者以外の視点から問題を整理する。
共感を持って接することで、チームメイトとの衝突を未然に防ぐ。
試合や練習でミスを指摘する際も、相手の気持ちに配慮する。
共感力を活かしたコミュニケーションが、チームの一体感を生む。
「共感力を活かして対立を解決する」ことを考えます。
共感力を高めることは、チーム内で生じる対立の解消において極めて重要です。相手の立場や感情を理解する姿勢を持つことで、衝突を未然に防いだり、冷静に対話を進めたりすることができます。共感を軸にした建設的なコミュニケーションの方法について検討します。
1.チーム内で意見が対立した際、双方の立場を理解しようとする
対立は避けられないが、双方の立場を尊重する姿勢が信頼回復への第一歩である。
作戦の食い違いを理解で乗り越える
プレーの解釈で意見が割れた場面で、互いの意図を丁寧に聞き合い、納得できる判断に導いた。
対話によって対立を乗り越え、信頼と協力を生み出す姿勢を示す。
新人の主張にも耳を傾ける
経験の浅い部員の意見にも真剣に耳を傾け、対話を重ねることで全体の納得感を高めた。
立場に関係なく意見を尊重する姿勢が、信頼形成につながる。
練習メニューの改善を対話で合意
練習方法に関する意見の違いを整理・可視化し、双方が納得できる改善案を導き出した。
建設的な対話が、チームの成長と合意形成の土台となる。
2.感情的にならず、冷静に話し合い、解決策を模索する
感情に流されずに冷静さを保つことで、対話は建設的な方向に進みやすくなる。
ミスの指摘を落ち着いて伝える
試合中のサインミスに対して、感情的に責めることなく、映像を用いて冷静に改善点を共有した。
冷静な伝え方が、相手の納得と改善意欲を引き出す。
試合直後のトラブルを沈静化
激しい言い合いになりかけた場面で、間に入った部員が両者の気持ちを整理し、落ち着いた雰囲気へと導いた。
第三者の冷静な対応が、対立の拡大を防ぎ、信頼を保つ。
感情をリセットするタイムアウト
言い争いになりそうな場面で、あえて一度会話を止め、時間を置いて再度話し合う判断が功を奏した。
感情を落ち着ける間を取ることが、対話を建設的にする鍵となる。
3.対立が起こった場合、当事者以外の視点から問題を整理する
第三者の視点を取り入れることで、感情に偏らずに状況を客観的に把握できるようになる。
中立の立場から整理する
コーチが当事者双方から丁寧に話を聞き、中立的な立場から要因を整理し、冷静な仲裁を行った。
第三者の介入によって、感情を抑えた建設的な対話が可能となる。
第三者のフィードバックを活用する
チーム外のアドバイザーに練習の様子を見てもらい、内部では気づけなかった課題を客観的に指摘してもらった。
外部の視点を取り入れることで、感情に左右されない分析が可能になる。
動画分析で感情を排除する
口論の原因となったプレーを映像で見直し、記憶や感情に頼らず、事実に基づいた話し合いを実現した。
映像などの客観的材料は、冷静な振り返りを助ける有効な手段である。
4.共感を持って接することで、チームメイトとの衝突を未然に防ぐ
事前に相手の気持ちに寄り添った対応を心がけることで、摩擦の芽を摘むことができる。
緊張に寄り添うリーダーの声かけ
重要な試合を前に緊張していた選手に対して、「その気持ちわかる。でも一緒にやれば大丈夫」と共感の言葉で安心感を与えた。不安に寄り添った声かけが、心の落ち着きと信頼の形成につながる。
負担が集中する選手への気配り
一部の選手に役割が偏っている状況に気づき、「分担しよう」と周囲に呼びかけて調整を図った。
先回りした配慮が、チーム内の不満や摩擦の発生を未然に防ぐ。
相手の性格を考えた対応
感情を表に出さないタイプの仲間に対し、急かさず時間をかけて信頼関係を築く対応を心がけた。
相手の特性に合わせた接し方が、関係の深まりと摩擦回避につながる。
5.試合や練習でミスを指摘する際も、相手の気持ちに配慮する
指摘の際は、相手の立場を尊重しつつ伝えることで、防衛的反応を避け、受け入れやすくなる。
“事実”と”気持ち”を分けて伝える
「この場面では、相手に先に動かれていたよ」とプレーの事実のみを冷静に伝え、感情的な批判を避けた。
事実に焦点を当てることで、相手が防衛的にならずに受け入れやすくなる。
“責める”のではなく”共に考える”
「どうすればもっとスムーズにいくと思う?」と問いかけることで、指摘ではなく一緒に改善策を考える対話を促した。
協調的な姿勢が、相手の主体性と前向きな姿勢を引き出す。
“良かった点”も忘れずに伝える
「ここはもう少し工夫できるかも。でも、この動きはすごく良かったよ」と、改善点と長所をセットで伝えた。
評価のバランスが相手のモチベーションを保ちつつ、指摘を受け止めやすくする。
6.共感力を活かしたコミュニケーションが、チームの一体感を生む
共感に基づくやり取りは、信頼と安心感を生み出し、チーム全体をひとつにまとめる力を持つ。
小さな声かけの積み重ね
日常の「大丈夫?」「ありがとう」といった一言を欠かさず伝えることで、信頼と安心感が徐々に育まれた。
些細な言葉が積み重なって、人間関係の基盤を形成する。
違和感を見逃さない観察力
普段と様子が異なる選手にいち早く気づき、「何かあった?」と声をかけたことで、孤立を防ぎ支えとなった。
共感的な観察力が、早期のサポートと安心感の提供につながる。
“心”のやり取りが生む団結力
練習終わりに交わされる「今日もありがとう」「お疲れさま」といった自然な労いの言葉が、チーム内に温かな空気と一体感を生み出した。共感あるコミュニケーションが、チームの結束力を強める要因となる。
アドバイス
共感力は、単に他者の気持ちを理解するだけでなく、実際の行動に移すことで初めて真の力を発揮します。
対立を恐れず、冷静に対話し、相手を思いやる姿勢を持つことが、チームの結束を深める鍵となります。
日々の中で意識して共感的な対応を重ね、困難な状況でも建設的に乗り越えていけるリーダーを目指してください。

