[34週]： [共感力を養う]
・チームメイトの感情や立場を理解し、信頼関係を築くことで、連携力とパフォーマンスの向上を図る力を養う。
・対立を未然に防ぎ、円滑なコミュニケーションを実現するための共感的態度を習慣化する。
・スポーツの場面だけでなく社会においても通用する、人間的なリーダーシップの土台として共感力を高める。
34-1：相手の視点に立って考える
他者の気持ちを理解するために、相手の視点で物事を考える練習をする。
チームメイトの意見を否定せず、一度受け止める姿勢を持つ。
試合中、チームメイトの役割や状況を考えたプレーを意識する。
コーチやスタッフの視点を理解し、指示の意図を考える習慣をつける。
試合後の振り返りで、他の選手の立場になって意見を交わす。
相手の視点に立つことで、より深い信頼関係が築けるようになる。
「相手の視点に立って考える」ことを考えます。
共感力を高めるためには、まず相手の視点に立って物事を考える力が必要です。
自分の考えに固執するのではなく、他者の立場や状況を理解しようとする姿勢が、チームワークの向上や信頼関係の構築につながります。相手の視点から物事を考える習慣を身につける方法について記載します。
１．他者の気持ちを理解するために、相手の視点で物事を考える練習をする
共感は意識的な練習によって養うことができる。
自分の視点だけでなく、他者の背景や気持ちを想像することで、より深い理解が得られる。
プレー中に声をかける工夫をする
味方のミスに対して感情的に反応するのではなく、励ましや前向きな声をかけることで、相手の立場や気持ちを思いやる姿勢を示す。言葉の選び方一つで仲間の心の状態に寄り添うことができるという、共感力の重要性を実践で学ぶ。
負傷したチームメイトを気遣う
怪我で苦しむチームメイトに寄り添い、励ましや支援を惜しまず行う。競技の利害を超えて、仲間としてのつながりを大切にする姿勢が、共感による信頼関係の深さを育む。
ポジション争いの中でも配慮を忘れない
競争関係にある選手に対してもリスペクトの気持ちを忘れず、公平かつ敬意をもって接する態度を貫く。
競争の中でも相手の努力や立場を尊重することで、人間関係の質とチーム文化を高める共感の力を体現する。
２．チームメイトの意見を否定せず、一度受け止める姿勢を持つ
共感力を高めるには、まず相手の言葉をしっかりと受け止めることが必要である。
否定する前に理解しようとする態度が、円滑な対話を生む。
作戦会議での意見交換において冷静に対応する
意見が対立する場面でも、相手の発言を最後まで聞き切り、まずは受け入れる姿勢を示すことで、建設的な議論の土台をつくる。相手を理解しようとする態度が、信頼と対話を生み、チームとしての一体感を育む原動力となる。
上級生として後輩の悩みに耳を傾ける
自分の成功体験や意見を押しつけることなく、後輩の立場や気持ちに寄り添いながら話を聞き、共感をもって対応する。
上下関係にとらわれず相手の感情を尊重する姿勢が、安心して相談できる関係性を築く力となる。
練習メニューに対する異議への理解を示す
仲間からの異議に対して感情的に否定するのではなく、その背景にある思いや状況を理解しようと努める。
異なる意見にも耳を傾けることで、多様な視点を受け入れる土壌をつくり、チームの柔軟性と結束力を高める。
３．試合中、チームメイトの役割や状況を考えたプレーを意識する
プレー中でも共感力は発揮される。
他者の動きや立場を理解したうえでのプレーは、連携の質を高める。
ブロックに徹して味方を生かす
自らが注目される場面ではなくても、味方が最も力を発揮できるようにブロッカーとしての役割に徹し、チームの成功を優先する。仲間の立場や役割を理解し支える行動に回ることで、共感に基づく連携の価値を実践する。
QBがWRのタイミングに合わせる
プレッシャーのかかる状況下でも、WRのリズムと走路を信じてタイミングを合わせることで、互いの信頼を形にしたプレーを成立させる。自分の都合ではなく仲間の動きに意識を向ける姿勢が、精度の高い連携を生み、共感のある判断力の重要性を示す。
ミスをカバーするためにフォローの声をかける
味方のパスミスに対して責めるのではなく、すぐにカバーの動きに入り、励ましの声をかけてプレーの流れをつなぐ。
共感的な反応によってミスの連鎖を断ち切り、信頼と連携を支える土台としてのフォローの重要性を体現する。
４．コーチやスタッフの視点を理解し、指示の意図を考える習慣をつける
共感力はチーム内の上下関係にも有効である。
コーチやスタッフの意図を理解しようとする姿勢が、チームの成熟度を高める。
厳しい指示の背景を考える姿勢
感情的に反発するのではなく、その指示の裏にある意図や選手への期待を汲み取り、自分に何が求められているのかを理解しようと努める。一方的に受け取らず背景を想像する姿勢が、信頼関係の構築と自己成長のきっかけとなる。
ビデオミーティングでの質問の工夫
単に正解を求めるのではなく、なぜその指示や戦術が選ばれたのかという意図を深く掘り下げる質問を意識して行う。
コーチの思考を理解しようとする対話が、選手としての理解を深め、双方向の関係を築く礎となる。
練習メニューの狙いを共有する動き
自らメニューの意図を理解したうえで、まだ把握できていない仲間にもその意味を説明し、練習の質を高める役割を担う。
指示を受け取るだけでなく意味を考え伝える姿勢が、チーム全体の理解力と結束を高める要因となる。
５．試合後の振り返りで、他の選手の立場になって意見を交わす
振り返りの場面でも共感の視点は重要である。
自分中心ではなく、他の視点から学ぶ姿勢が、成長の幅を広げる。
ポジション別の振り返りで視点を交換する
自分のプレーだけでなく、他のポジションの選手が見ていた景色や意図を理解することで、全体の流れに対する理解を深める。立場の異なる視点に触れることが、プレーの幅とチームへの理解を広げ、共感力を実戦的に高めることにつながる。
ミスの共有における共感的対応
仲間のミスを責めるのではなく、その時の心理や状況に寄り添った対話を通じて、チームとしての支え合いを実践する。
失敗を学びに変えるためには安心して話せる雰囲気が不可欠であり、共感的な対応がその土台を築く。
他者の評価に耳を傾ける姿勢
自分に直接関係のない振り返りにも積極的に耳を傾け、他人の経験や気づきを自らの学びに変える姿勢を示す。
自分の成長だけでなく、他者の学びからも吸収する姿勢が、チーム全体の成長を後押しする力となる。
６．相手の視点に立つことで、より深い信頼関係が築けるようになる
共感によって築かれる信頼関係は、言葉ではなく行動と理解によって強固になる。
相手の立場に立てる人間は、自然と信頼される存在になる。
上級生が後輩の話しやすい雰囲気をつくる
後輩が遠慮せずに相談できるよう、意図的にフランクな会話や軽い声かけを増やし、心理的な壁を取り払う工夫を続ける。
立場にとらわれず相手に寄り添う姿勢が信頼の土台を築き、自然と周囲が心を開ける関係性を生み出す。
練習後に労いの言葉をかける習慣
練習やサポートをしてくれた仲間に対し、「今日もありがとう」と感謝の言葉をかけることを習慣とし、日々の関係を温かくつなぐ。さりげない労いの一言が、相手を大切に思う気持ちを伝え、信頼関係を深めるきっかけとなる。
相手の気持ちに寄り添う提案力
状況や相手の感情を丁寧に読み取り、その立場に立ったうえでの配慮ある提案を行い、納得感のある対話を実現する。
表面的な正論ではなく、共感に裏打ちされた提案が相手の信頼を集め、調和ある関係づくりにつながる。
アドバイス
共感力は一朝一夕で身につくものではありませんが、意識して相手の立場や気持ちを想像することで確実に磨かれていきます。他者の視点に立って考える姿勢は、チームメイトとの信頼関係を築くだけでなく、自身の成長にも大きくつながります。
毎日少しずつ、相手の気持ちを考える習慣を育てていきましょう。
